子どもの発達

子供が幼稚園でしゃべらない原因は?場面緘黙症かも?

子供

「人見知りなんです」「恥ずかしがり屋で……」という人は大人であっても少なくありません。
 

我が子が人見知りが激しかったり、恥ずかしがり屋でお遊戯会などのセリフも言えないと

「このままで大丈夫かしら?」

と心配になるかもしれません。
 

そんな人見知り、恥ずかしがり屋な子供と不安症群のひとつである場面緘黙症(選択性緘黙症)の子供との違いや治療法などについてまとめました。
 

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子供が幼稚園でしゃべらないのは何で?考えられる原因は?

子供
 
幼稚園で子供があまりしゃべらないと聞くと、親としても心配です。

しかし、人見知りの子や恥ずかしがり屋な子は珍しくはありません。
 

人見知りの人

  • 初対面の人に対しての警戒心を持つ
  • 性格が内気
  • コミュニケーションや人付き合いが苦手なことが多いく
  • 限られた人とは話せてもなかなか人の輪に入っていけないことが多い
  • 人との関係を築くまでにも時間の掛かるタイプ

といえます。
 

恥ずかしがり屋(シャイ)な人は

  • 人前に出ることが苦手
  • 人前に出ると緊張する
  • リラックスした場所では話せるタイプ

です。
 

どちらも決して悪いわけではないのですが、親としては

「こんな感じで大丈夫かしら?」

と心配になるかもしれません。
 

家ではよくしゃべるのに外ではおとなしい子供は、裏を返せば家でリラックスして過ごせているということだと思います。
 

子供の恥ずかしがり屋な一面が表に出る原因としては以下のようなことが考えられます。
 

何かに失敗したり、人から笑われたように感じる経験があった。

大人にとってはささいな失敗であっても、子供にとってはとても大きなことで、それは恐怖に似た経験に思えてしまうことがあります。

その経験を思い出して同じ失敗を繰り返してしまうかも?と考えて萎縮してしまうのです。
 

親の手出しや口出しが多い。

子供が自ら何かをしようとしたときに、親が心配のあまり口出しをしてしまったり、つい手を出してしまうと、子供は

自分では何もできない

自発的に考えることを止めてしまうことがあります。
 

親を頼ることで安心感を得てしまうので、自信のない場面でその安心感に頼るようになります。

過度な親の干渉も良いとはいえません。
 

親は子供の得意なことを伸ばし、子供のタイミングを大切にできるよう関わっていきましょう。

経験を積むこと、小さな目標をひとつずつ達成していくことで、子供が達成感を味わえるようにすると良いと思います。
 

私も人見知りが激しく、恥ずかしがり屋な幼少期を過ごしました。

幼稚園では友達と遊ぶよりもひとりで絵を描いたりすることが好きな子供でしたが、母はそれを否定したことはありませんでした。
 

小学生になると、その絵や自分の考えた物語を友人から認めてもらえたことで、少しずつ友人と付き合うことが増えていきました。

高学年になった時にはクラス委員や生徒会役員を引き受けるまでになりました。
 

その経験から人前で話すことにも慣れていきましたが、それができるようになったのもそれまでの経験の積み重ねがあったからだと思っています。
 

人見知りや恥ずかしがり屋な子供には『大丈夫だよ』と声をかけながら、その子のタイミングで人の中に入っていけるのを待つことも大切です。
 


緘黙症って何?場面緘黙症と選択性緘黙症

子供
 
先に述べましたが、人見知りや恥ずかしがり屋な子供は珍しくありません。

しかし、その症状が激しい場合には『場面緘黙症(選択性緘黙症)』を疑って受診することをオススメします。
 

場面緘黙症(選択性緘黙症)が人見知りや恥ずかしがり屋と違うのは、症状が激しく数年経っても同じ状態で自然に解決しません
 

主に家の中や他人の居ないところでは話せていても、毎日通うような場所でも家の外では他人がいるところでは話せません。

強烈な不安感から声が出なかったり、緊張や恐怖から緘動(かんどう)という症状で体が硬直してしまいます。

心はいつも不安でいっぱいだったり、中には家族の中でも上手く話せない人もいます。
 

症状としては

  • 全く発語ができない。(発声そのものができない)
  • 小声で少しだけ話すことができる。(伝えたいことは小声ならば話せる)
  • 無表情。(表情で返答することも難しい)
  • 食事ができない。(ものを口にすること、飲み込むことが難しい)
  • トイレに行けない。(トイレに行っても用を足せない)
  • 体に力が入らない・(力が入らないため、うなずくことができない)

などです。
 

場面緘黙症(選択性緘黙症)の要因は、

  • 遺伝
  • 気質(性格)
  • 発達
  • 不安を感じやすい
  • 苦手意識が強い
  • 生育環境

などが考えられます。

もともと、内向的な性質を持ち合わせているために先天的に不安になりやすい人が多いといわれています。

脳科学的な観点からいうと、扁桃体の過剰反応と考えられています。
 

発症は2歳~5歳、ピークは12歳~19歳の10代
といわれています。

多くが自然に改善されると思われがちですが、

  • 成人になっても症状に苦しむ人も多い
  • 克服後も発語の困難が持続する
  • 社会不安・社交不安に苦しむ

などの疾患を合併することもあります。
 

国内では200人に1人が場面緘黙症(選択性緘黙症)といわれています。
 

2013年に改訂されたDSMーV(精神疾患の診断・統計マニュアル)で場面緘黙症(選択性緘黙症)の分類が“不安症群”に改訂され、その状態が具体化されましたが、日本では認知度が低いために支援が遅れていたり、研究も発展途上です。

そのため、いじめや不登校、うつ的症状などの二次障害で苦しむ人が多いのです。
 

他にも言語発達が遅いケースもみられ、緘黙症の他にコミュニケーションに問題を抱えていたり、言語以外の発達に問題を抱えていることもあります。

前提として、言葉を発することができないために併発している障害の有無を正確に判断することが難しいのです。
 

そのため、早期の克服開始が望まれます。
 

  • 幼稚園や学校などの特定の状況で無表情で全く話すことができない。
  • 症状が1か月以上続いている。
  • 言葉を知らない、話すのが下手だから話さないという理由ではない。
  • 学校などでご飯が食べられない、トイレに行けない。(家庭ではできる)
  • 学校の成績や評価が疾患によって著しく低い。
  • 不安で体が硬直して上手く動かすことができない。

など、気になることがあったら受診してみましょう。
 

緘黙症の治療法とは?

医師
 
場面緘黙症(選択性緘黙症)の治療は大きく分けて2つです。
 

専門家と実施する。

  • 臨床心理士
  • 言語聴覚士と行う心理療法
  • 音楽療法士と行う音楽療法
  • 医師と行う薬物療法

などが一般的です。

学童期は個人での認知行動療法が第一選択として推奨されています。
 

心理的な治療は特に施す側と受ける側の信頼関係が重要であったり、安心して話せる環境作りを少しずつ作るため、焦りは禁物です。

  • フェンディング法
    (リラックスできる空間に治療者が訪れ徐々に距離を縮める方法)
  • や幼児にはシェイピング法
    (スモールステップで徐々にできることを増やす方法)

などで治療を進めていきます。
 

周囲との協力による支援。

幼稚園や学校と連携し、周りの理解を得て協力をお願いするようにしましょう。

子供がリラックスできる環境を家庭でも作り、

  • 筆談(スマートフォンや紙)
  • YES/NOで質問
  • ジェスチャー(指差し)

など、個々に合ったコミュニケーションをとりましょう。

話させるよりも話せる環境作りが大切です。
 

認知行動療法が大きな改善が見込めるといわれてはいますが、認知の低さや専門家の少なさから場面緘黙症(選択性緘黙症)には確立された治療法がありません

時間がかかることもあるかもしれませんが、子供ができたことを認めながら治療を進めていきましょう。
 


まとめ

場面緘黙症(選択性緘黙症)の子供は、特定の場所で一切しゃべれないという深刻な悩みを抱えています。
 

それが誤解されたり、いじめに繋がったりしてしまうと本人には気持ちのコントロールができないことで苦しむことになります。

人間関係が築けない、学校行事に参加できないなどの問題も起こりやすいといえます。
 

場面緘黙症(選択性緘黙症)を克服した人でも他人と話せるようになったけれど、抵抗感があると答える人は少なくありません。
 

早期の克服開始が大切なのは、本当の意味でセラピーの効果を実感するには時間が必要だということなのかもしれません。
 

話す以外のコミュニケーションの取り方や、しゃべることを無理強いしないことが大切です。

しゃべれなくてもその場に居ても良いのだと子供が感じることができる、自分らしさを発揮できるよう援助するような環境作りから始めてみましょう。



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