罪を犯した身内が近隣に住んでいると聞いたら、何も知らない相手であれば警戒してしまう人が多いように思います。
犯罪の内容によっては『怖いな』『引っ越してくれないかな?』と感じるかもしれません。
現在は、誰もがいつ犯罪に巻き込まれるかわからないといわれています。
自らが法を犯そうという意識を持っていなくても犯罪に巻き込まれてしまったり、いつの間にか犯罪の渦中に身を置いていたなどということもないとは言えないのです。
親が犯罪者になってしまった時、子供にどんな影響が及ぶのかをまとめてみました。
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犯罪者の子供はどんな環境でどのように暮らしているのか?
主な養育者(親)が逮捕や拘留されるということは、子供にとってはただちに養育の問題が発生することになります。
稼ぎ手の親が逮捕されれば、
- 収入が無くなる
- 弁護士費用
- 被害の弁償などの負債
- 転居
などで経済的に困窮します。
残された親も場合によっては解雇されて職を失った際には再就職が難しいこともあります。
逮捕された親との別離で家族のあり方が変化したり、転居や転校で生活環境は大きく変わることがあります。
笑ったり、楽しいことをすることに対してや犯罪者が身内にいるということを秘密にすることで罪悪感を抱くこともあるのです。
家庭内では逮捕された親と同じようにならないようにという思いから、他の家族から
「逮捕された親のようになってはいけない!」
と抑圧されることもあるようです。
家庭の経済的な不利益だけでなく、学校や社会からは精神的・物理的な不利益にさらされます。
事件の内容によっては、度を超えたマスコミの取材や地域住民からの好奇の目だけでなく、見ず知らずの他人からバッシングを受けることもあります。
そうなると職を変え引っ越しをせざるを得ないものの、転居先でも事件の関係者であることを知られないようにひっそりと暮らすことになります。
現代はインターネット上に個人情報を暴露されてしまうことで、情報流出を食い止めることが不可能になってしまっているため、心ない人からの攻撃がいつまでも続いてしまうのです。
バッシングや自責の念に耐えられず、自ら命を絶つ人も少なくありません。
上記のような不利益やバッシングは、被害者側と加害者側と立場は逆であっても似たような困難な状況に立たされます。
特に加害者家族は、加害者本人よりも厳しい苦難を強いられることも多いのにサポート制度はまだ十分ではなく重要性もほとんど理解されていないのが現実です。
犯罪者の子供だからこそ受けるいじめや差別
罪を犯した親を持つ子供が受ける差別は
- からかい
- 暴力
が多いようです。
親元を離れて児童養護施設で生活することになった際には、施設内で役割を多く負担するように強いられたという事例もあるようです。
それは低年齢であるほど、抵抗できずに言いなりになってしまったり暴力にさらされることが多いようです。
世間を騒がせた事件で両親が逮捕された子供たちは、施設で親の起こした事件を揶揄したあだ名で呼ばれたと手記に記していました。
罪を犯した本人に対して強い怒りを感じるのは当たり前のことです。
しかし、先にも述べましたが家族が責任を感じて自分を責めてしまうことがあります。
子供は『犯罪者と同じ血が流れている』ということに嫌悪感を抱いたりしてしまうこともあるのです。
しかし家族は”犯罪者“ではなく、まして子供には犯罪の責任はないのです。
犯罪者の子供の将来と就職への対応は?
犯罪者の子供は親の犯罪歴が関わるような仕事には就けないという話はあります。
警察官など、社会的信用が不可欠な職業は三親等以内の身辺調査がされるようです。
だからといって希望する職に就けないということはないとされています。
『職業選択の自由』は本人の責に負わないところではこのような差別は受けることがないよう保障されています。
しかし、採用側がどうとらえるかまでは不透明なように思います。
実力主義の会社で頑張っている人もいることも確かですが、周りの人にいつ親の犯罪歴が知られてしまうかと怯え定職に就けずにいるという話も珍しくはありません。
就職と同様に難しいのでは?と個人的に感じるのは『結婚』ではないかと思います。
まだまだ日本は結婚が個人と個人ではなく、家族を含めて考えることが多いので親の犯罪歴も関わることも少なくないと思います。
本人に責任がないことであっても犯罪者が身内にいると聞けばその人を知らない人は警戒し遠ざけようとすることが現実だと、私はこの記事を書くにあたり調べていて感じました。
まとめ
家族が犯罪者となってしまった時にイギリスではNGO『Partners of Prisoners and Families Support Group』(=POPS)が、警察などの行政機関と連携して事件直後から総合的な支援を行っています。
そのPOPSの活動を参考にしているのが、日本では専門支援機関『World Open Heart』(阿部恭子代表)というNPO法人です。
- 家族に対する過熱取材への対応
- 転居や法律の相談
- 行政や警察への同行
- 裁判の代理傍聴
- 家族のメンタルケア
などの直接支援や一般への啓発、調査、研究活動などをおこなっています。
しかし、こうした活動は被害者支援を蔑ろにすることであるかのように曲解されてしまったり、世間からの理解を得られずに攻撃を受けてしまいがちです。
加害者家族を支援することで、
- 加害者が出所したあとの受け皿を保つことで再犯防止に繋がる
- 不安定な環境に置かれることで子供が将来、犯罪者になるリスクが高まるとされているため、その防止に繋がる
のですが、被害者感情に沿うと賛同が得られにくいといえます。
しかも、ネットでも加害者家族に向けた情報は多くありません。
必要な支援を得られないのは加害者だけでなく、その家族も罪を犯したかのように制裁を加えられるなどの人権が確立されていない社会であることが問題なのかもしれません。
罪のない家族まで社会的に排除するという社会が変わっていくことが大切ではないでしょうか。
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