赤ちゃんがミルクを吐くのは当たり前――。
以前の私は、なんとなくそう思っていました。
でも・・・。
実際に子育てしてみると、「これはおかしいぞ!?」と感じる嘔吐にしばしば出くわします。
そんな時の子供は、おびえていたり、泣いていたり、苦しそうだったり。
今回は、そんな子供たちの心配な嘔吐について調べてみました!
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子供の嘔吐で危険な病気の可能性がある?
私たち大人と比べて、ちょっとした刺激からでも嘔吐しやすい子供たち。
まずは、そんな嘔吐の中でも、特に危険な病気をご紹介したいと思います。
腸重積(ちょうじゅうせき)
腸重積とは、小腸の終わりの部分が、大腸の内側に重なって入り込んでしまう病気です。
腸の中のものがうまく流れないため、発症後時間がたつと嘔吐など腸閉そくの症状が現れます。
また、腸の血流も悪くなるため、血管が破れて便に血が混じるようになります。
離乳期から1歳ころまでの子供がかかることが多く、また女の子よりも、男の子の方が2倍程度かかりやすいといわれます。
原因はいろいろですが、風邪などの影響でリンパが腫れることなども発症の引き金になります。
腸重積(ちょうじゅうせき)は、時間との勝負です!
発症後24時間以内に診断された場合、8割は手術なしで治療をすることもできるそう。
具合が悪くても、小さな子供は具体的な症状を教えられません。
たくさん言葉を理解しているように見える子供でも、自分の体調の悪さが「おなかが痛い」とか「吐きそう」などのワードと結びつくまでには、かなりの時間と経験が必要なのです。
- ぐったりしている
- 不機嫌
- 顔が青白い
- 便の色がおかしい
などの兆候に気が付いたら、小児科専門のお医者さんに診てもらうことが大切です。
腸回転異常症
人間の腸は、赤ちゃんでも2m近くあります。
胎児はその長い腸の一部を、体内ではなく臍帯(さいたい)、つまりへその緒の中で成長させ、その後回転させながらおなかの中に戻します。
その時に、回転がうまくいかないのが「腸回転異常症」です。
患者の約8割は、生後1か月以内に中腸軸捻転(ちゅうちょうじくねんてん)を起こします。
すると
- ミルクを飲まない
- 激しく嘔吐する
さらに進行すると
- 便に血が混じったり
- おなかが張ったり
などの症状があります。
腸回転異常症を放っておくと、腸の一部がダメになってしまいます。
その場合手術で患部を取り除き、腸を短くすることになりますが、その後の消化吸収に大きな問題を残すことにもなります。
赤ちゃんがぐったりしているなどの危険なケースでは、緊急手術も必要になる怖い病気です。
また、赤ちゃんの時には見つからず、大きくなってからの腹痛や嘔吐がきかっけで発見されることもありますから、年齢が上がれば絶対に大丈夫ということはありません。
ケトン性低血糖症
朝の空腹時や、カゼなどの発熱をきっかけに起こることのある、低血糖症です。
低血糖というとインスリンが原因だと思いがちですが、ケトン性低血糖症はインスリンの働き以外の原因によるものをさします。
乳幼児の低血糖症は、血糖値が40mg/dl以下のものです。
ケトン性低血糖症の場合、血糖値は一日中低いわけではありません。
特に血糖値が下がりやすい朝の空腹時に、
- けいれんを起こしたり
- 繰り返し吐く
などの症状が現れます。
顔色が青白くなり、ぐったりしていたら、すぐ病院へかかりましょう!
お腹がすいている状態では、子供は4~6時間しか血糖を維持できません。
これは、大人の約半分の時間です。
大人の感覚で食事の間隔を開けてしまうと、子供の体には大きな負担となってしまうんですね。
ですから、ケトン性低血糖症予防のためにも、夜の授乳や食事を抜いて空腹時間が長くなるようなことは避けるようにしましょう。
アセトン血性嘔吐症(周期性嘔吐症・自家中毒)
脳から消化器官への信号に異常が生じて、数時間あるいは数日にわたって嘔吐を繰り返す病気です。
それが一度きりではなく、一月の内に何度も繰り返したり、年に数回起きたりと、頻度はまちまちです。
噴水のように吐き戻すことも多く、血や胆汁が混ざることもあります。
胃腸炎や食中毒、摂食障害などと見分けることが難しく、診断が遅れやすい病気でもあります。
うちの子もノロウイルスの胃腸炎でひどく吐いたことがありましたが、吐くものがなくなっても吐き気が治まらず、緑色の胆汁を吐き始めた時には見ている方もヒヤヒヤしたものです。
知人の子にもこの病気にかかっている子がいますが、あんな苦しい状態を繰り返しているのかと想像すると胸が苦しくなってしまいます。
脱水症状
子供はその体の70%程度が水分で、しかも大人よりも脱水症状を起こしやすい体質です。
水分補給を忘れてしまったり、熱を出したりといった時には注意が必要です。
脱水症状が進むと、赤ちゃんはぐったりして、不調からぐずるようになったり、吐き気や嘔吐に悩まされることもあります。
その他にも、
- おしっこの回数が少ない
- 泣いても涙が出ない
- 手足が冷たい
- 肌が乾いたり張りがない
なども脱水のサイン。
ひどくなると目が落ちくぼんできたり、体重の減少がみられたりもします。
脱水症状は水分だけでなく、体内のミネラルなども失われている状態です。
重症化すると危険なため、点滴などの処置がとられることもあります。
嘔吐に熱や下痢が伴う場合は?
嘔吐だけでなく、発熱や下痢の症状がある場合には、どんな病気が考えられるでしょうか。
例えば、こんなものがあります。
ウイルス性胃腸炎
- アデノウイルス
- ロタウイルス
- ノロウイルス
といったウイルスを原因とする感染性胃腸炎。
非常に感染力が強く、保育園や幼稚園で次々感染することも多い病気です。
わが家も子供が幼稚園に入った最初の冬に次から次へと感染してきて、家族間でも感染したため、冬休みが丸つぶれになったことがありました。
それぞれの症状は、
アデノウイルス
嘔吐はあまりなく、下痢や腹痛が主な症状です。
下痢は一週間程度続きます。
季節を問わずに感染します。
ロタウイルス
- 初期の39℃台の高熱
- 数日間の嘔吐
- 一週間程度のひどい下痢
などが起こります。
胆汁の分泌が悪くなるため、白っぽいうんちが出るようになるのが特徴です。
ノロウイルス
激しい嘔吐と下痢が2~3日続きますが、長引きにくいのが特徴です。
細菌性胃腸炎
- カンピロバクター
- サルモネラ菌
- 病原性大腸菌
- 腸炎ビブリオ
- 黄色ブドウ球菌
などの細菌を原因とする感染性胃腸炎です。
原因としては、調理者の手洗いや加熱調理が不十分だったりした場合に、食品から感染するケースが多くなっています。
症状としては、
- 腹痛
- 発熱
- 下痢
から始まり、遅れて嘔吐があらわれます。
また便には、血液や粘液、ウミなどが混じることもあります。
感染した細菌によっては、さらに血便や肝機能障害などが現れる場合もあります。
大きくなってくると、大人と同じように、下痢によって細菌を追い出すことで回復が期待できます。
ただし、乳幼児の場合は、全身症状も強く心配です。
素人では判断のできないこともありますし、感染を引き金に敗血症になることもありますから、やはり病院に連れて行きましょう。
ところで昔よく注意されたことですが、動物がフンをした場所で砂遊びなどをした手にも、危ない菌がついていることがあります。
砂場で遊ぶ時など、事前に大人が見てあげてくださいね。
気になるものが落ちていないときにも、もちろん手洗いはしっかりするように習慣づけましょう。
髄膜炎・脳炎
髄膜炎では
- 発熱
- 嘔吐
- けいれん
などが起こることもあります。
脳炎の場合は、さらに意識障害をともないます。
インフルエンザ菌や肺炎球菌などの細菌は、髄膜炎の原因になることがあります。
夏カゼ、おたふくかぜ、ヘルペス、日本脳炎などのウイルスは、髄膜炎・脳炎どちらの感染源にもなりえます。
細菌、ウイルスによる感染症は、それ自体に脳の嘔吐中枢を刺激しやすいという性質があるようです。
カゼのひき始めや、中耳炎、尿路感染症など、一見無関係に見える感染症でも嘔吐が起こる場合があります。
子供が嘔吐した時には、全身の状態をよく確認することが大切ですね。
脳腫瘍
子供でも脳に腫瘍ができることがあります。
脳の中を流れる髄液が、腫瘍によってせき止められてしまった状態が水頭症です。
子供の脳腫瘍では、水頭症が起きやすいともされています。
脳腫瘍の症状としては、
- 吐き気
- 嘔吐
- 頭痛
などの症状があらわれる他、腫瘍の位置によって運動能力に異常が起こり、ふらふらと変な歩き方をしたりします。
起床時に強く症状が出やすいため、繰り返し通園や通学をいやがる場合には、病気の可能性も考えてみてあげてください。
子供が嘔吐した時の対処法!
子供が嘔吐した場合、家ではまず何をしたらよいのでしょうか。
何も与えずに様子を見る
嘔吐したばかりで何かを食べたがることはないと思いますが、脱水症状を心配するあまり、すぐに水分を取らせなくてはと思うこともありますよね。
しかしまだ落ち着かないうちに飲ませると、その刺激でさらに嘔吐を引き起こすことも少なくありません。
1時間~2時間は絶食して様子を見ましょう。
その後、容体が落ち着いているようだったら、スプーン1杯ほどの経口補水液を与えます。
間隔は5分~15分に1回が目安です。
においを残さない
重大な疾患がなくても、吐いたもののにおいで、繰り返し吐き気をもよおしてしまうこともありますね。
- 汚れた衣服は着替えさせる
- 口元をきれいにふいてあげる
などの対処も症状の改善に有効です。
楽な体勢にしてあげる
すぐ横にさせると、胃の中のものが逆流しやすくなり、嘔吐や吐き気につながります。
- 縦向きで抱っこする
- 寝具の頭の方を少し高くしてあげる
など、体勢を気にしてあげましょう。
感染を予防する
子供のケアとともに、これをきちんとしておかないと、感染が家中に広がる危険があります。
- 吐いたものを処理するときには、使い捨てのマスクや手袋などを使用する
- 石けんと流水でしっかり手洗いをする
- 漂白剤を50倍に薄めたもので、汚した場所や、普段手を触れるような場所をふいておく
- 漂白できない衣類などは熱湯消毒をする
吐いたものが乾燥すると、空気感染の危険がありますので、処理は手早く行いましょう。
キッチンペーパーやいらない布などで包み込むように取って、ビニール袋に密閉します。
漂白剤は、家庭用の塩素系漂白剤を薄めて使います。
特に嘔吐した場所は漂白剤でしっかりと消毒し、10分後に水拭きしておきましょう。
衣類や布団カバーなども塩素消毒できればよいのですが、できない場合は熱湯消毒です。
キレイに汚れを落としたら、85℃以上の熱湯に1分以上漬け込みます。
私はやかんでグツグツわかした熱湯を、洗濯物のバケツに注ぐようにしています。
洗濯物の量が多いと温度が下がってしまうので、少しずつでも確実に消毒しましょう。
看病する家族の負担も大きいですが、たくさん洗うものがあっても、洗濯機にはいれないでくださいね。
洗濯機の中に原因菌が残ってしまうと、二次感染が広がってしまいます(経験済み)。
まとめ
子供の繰り返す嘔吐は、胃腸の病気だけでなく、
- 脳の嘔吐中枢の異常
- 脱水症状
- 低血糖症
などさまざまな原因があるんですね。
想像よりも大きな病気が多くあることを知って、私も驚きました。
感染症の場合、吐いた後のケアも大切です。
病院にかかったとしても、実際に嘔吐に対処するのはほとんどが自宅ですよね。
親が一緒に胃腸炎にかかってしまうと、子供の面倒を見ることができなくなりますから、二次感染予防も本当に気が抜けません!
私は連日の嘔吐にシーツも布団カバーも足りなくなって、疲れもあり、つい洗濯機に入れてしまったことがあります。
もちろん下洗いはしてありましたが、それから夫がやられ、とうとう自分もやられてしまい後悔でいっぱいでした。
先に回復した子供には、食事を作らなければいけませんしね。
皆さんも普段からしっかり体調管理をして、感染症にご注意くださいね!
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