子どもの発達

暴言や体罰を受けた子供!脳が受ける影響で委縮や変形を起こすって本当?

泣く子供

会社やスポーツ界でのパワハラが問題視される今日この頃。

暴言や体罰は、私たち大人にとっても大きなストレスですよね。
 

心身が未熟な子供たちにとっては、さらに大問題!!
 

会社は辞めようと思えば辞められますが、親子関係などを子供の方から投げ出すことはなかなかできるものではありません。
 

繰り返される暴言や暴力から物理的に逃れられないことが続くと、子供たちの脳は、なんと、それを認識する能力を自ら手放してしまうようですよ。
 

つい、朝からガミガミ言ってしまう私たち母親にとっても、他人事ではありません。

子供たちの、心配な脳の萎縮について見ていきましょう。
 

Contents

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子供が暴言や体罰を受けた!脳に委縮や変形の影響を受けるの?

母と娘
 
幼少時に受けた暴言や体罰などによる、脳の萎縮・変形については研究が進められており、厚生労働省からも注意喚起がなされています。

その一部をご紹介します。
 

暴言による影響

4歳から17歳までに、保護者からほぼ毎日暴言を受けている子供の脳は、そうでない人に比べて、委縮することがわかっています
 

聴覚をつかさどる「聴覚野」で、

  • 左脳が9.2%
  • 右脳が9.9%

の萎縮という結果が出たそうです。
 

男女比では、男児の方がさらに深刻で、

  • 左脳が15.9%
  • 右脳が13.8%

委縮していたそうです。
 

体罰による影響

4歳~15歳ころに、頬への平手打ちや、ベルトで尻を叩かれるなどの体罰を年12回以上、3年以上にわたって受けた子供の脳は、そうでない人に比べて、前頭前野周辺が委縮することがわかっています。
 

  • 感情や意欲に関わる「前頭前野内側部」が19.1%
  • 集中力や注意力に関わる「前部帯状回」が16.9%
  • 認知機能に関わる「前頭前野背外側部」が14.5%

 

また、暴力を受けて育った人は、体から大脳に感覚を伝える神経回路が細い傾向も見られます。

これは、体の痛みを感じにくくするための変形だと考えられています。
 

性的虐待による影響

幼少期に性的な虐待を受けていた子供は、そうでない人に比べて、視覚や空間認知をつかさどる「一次視覚野」が14.1%委縮することがわかっています。
 

DV目撃による影響

幼少期に、頻繁に両親のDVを目撃した子供は、そうでない人に比べて、右脳の視覚野の一部が6.1%委縮することがわかっています。

また、同時に変形も起きており、右脳では6.5%薄く、左脳では6%薄かったそうです。
 

育児放棄による影響

親が育児放棄(ネグレクト)をすることで、子供の脳の偏桃体が委縮するそうです。
 


子供が受けた暴言や体罰で脳が委縮!どんな症状を起こすの?

脳
 
暴言や体罰によって、脳が変形・委縮してしまった場合、どんな症状が現れるのでしょうか。

部分ごとに見ていきましょう。
 

聴覚野

聴覚野は、音や言葉の情報処理をしています。

聴覚野が委縮してしまうと、聴覚や言語の発達に障害が起こる可能性があります。
 

前頭前野

体罰によって、前頭前野に委縮を起こした場合はどうでしょうか。

前頭前野は、思考や自発性、感情、理性などをコントロールしている部分です。
 

そのため、ここが委縮してしまうと、感情的、暴力的になったり、物事に興味関心を持てなくなったりします。

社会生活に大きな悪影響を及ぼす可能性が高くなってしまいますね。
 

視覚野

視覚野は、見たものを認識し、長期間記憶にとどめておく働きをしています。

そのため、視覚野が委縮すると、相手の認識があいまいになったり、長く覚えていられなくなったりします。
 

偏桃体

偏桃体は、記憶力や学習力をつかさどる部分です。

また、心の動きに関連付けた記憶の形成と貯蔵を行います。
 

そのため、偏桃体が委縮した場合、情緒不安定になることが心配されます。
 

子供の脳に委縮や変形が起こっても回復するの?


 
脳は、30代を過ぎると、誰でも加齢のために委縮し始めるといわれています。

反面、20代後半までは成熟が続くため、早い内に心理的な治療を受けることができれば、回復も期待できるのです!
 

一方、残念ながら適切な治療を受けられなかった場合はどうでしょうか。

子供たちの苦しみは、さまざまな形で、一生涯続く可能性があります。
 

脳の萎縮は、「見たくない、聞きたくない、感じたくない」という心の防衛反応です。

しかし、その結果

  • うつ病や統合失調症などを引き起こしたり
  • 学校や社会になじめなくなったり
  • 将来自分が親になったときに同じようなことを繰り返してしまう

などのケースもあります。

強いストレスによって、このような状況に陥ってしまった子供に対して、その理由を本人に求めることは酷なだけで何の解決にもなりません。
 

さらには、このような子供たちは、将来心疾患や肺がんにかかるリスクが3倍、寿命は20年も縮まるとのこと。

子供たちには、愛のムチよりも、愛情と安心できる居場所が、いつでも、なによりも必要です。
 


まとめ

暴言や体罰、心理的な暴力によって、子供たちの脳は萎縮や変形を起こしてしまうことがわかりました。

近年、教育現場でも発達障害を認められるお子さんが増えていますが、その一部にはこういった非常に強いストレスから脳の機能障害を引き起こされたケースも含まれているかもしれません。
 

かくいう私も、以前はワンオペ育児や、それに付随するいろいろなプレッシャーから、幼い我が子を手放しではかわいがれない時期がありました。

言葉だけでは伝わらない年齢だということはわかっているのに、つい感情的に強い言葉を投げつけてしまったこともありました。
 

今は子供も大きくなって、意見がぶつかることもありますが、言い過ぎた時はお互いに「ごめんね」をして、ぎゅっと抱き合って仲直りしています。

自分の方が強い立場だからこそ、気持ちの面で子供が孤立しないようにしなければいけませんよね。
 

一時の心ない暴言や体罰で、生涯の負担を負わせてしまうこともあります。

子供は、みんな可愛いもの。

子供たちが、より安心して暮らせる社会にしていきたいですね!



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